修一
(この前は皐月に邪魔されて話せなかったからな。
今日は優衣と久しぶりに話ができるかな)
日曜日。
約束の日。
俺は予約したお店で優衣を待っていた。
優衣
「……修一。」
この声…
この雰囲気…
修一
「優衣___」
俺は振り返って少しびっくりした。

優衣と一緒に長身の女性、それに麻宮もついてきたのだ。

たしか、長身の女はテヒって韓国人だったか?

羽毛のふんだんに使われたゴージャスなコートを着ている。
修一
「あ……あー、テヒ『さん』でしたっけ?あと麻宮も久しぶり」
テヒに麻宮まで来るなんて聞いてないんだが…
まいったね
優衣からテヒのことを聞き出したかったのにまさか本人が来るとは
やれやれ、どうしたものか
それに麻宮て…w
お前、優衣と仲、めちゃくちゃ悪かったじゃねぇか
なんで来たんだよ
俺の反応を見て優衣と麻宮の顔がなぜか少し険しくなった気がした。
優衣
「修一、知ってると思うけどこちらは韓国から留学していただいてるパク・テヒ様。
テヒ様、この子が私の幼馴染の新城修一です。」
麻宮
「新城くん、久しぶりね。」
麻宮が2人分の鞄をソファにおろした。
テヒが鞄を持っていないところをみるとテヒの鞄か?
あのプライドの高い麻宮が人の鞄を持つとは
優衣は優衣でなんでテヒに様付けなの?
そういや皐月が言ってたな
パク・テヒのことをみんな様付けで呼んでるって
確かに異様な雰囲気
皐月が警戒するのもわかる。
麻宮がなぜか俺の隣に座る。
机に2人用のソファが2つ対称になるように並べてある席なので2人セットで座るしかないのだが、お前空気読めよっ(´・ω・`)
お前は韓国人の隣に座ればいいだろっ
そうこうしているうちにテヒのとなりに優衣が座る。
修一
「パク・テヒ『さん』、こんにちわ。」
俺はわざともう一度テヒのことをさん付けで呼んでやることにした。
腹立つわぁ
いやいや、我慢
そんなことでイライラしていると思われたら優衣に失望される。
テヒ
「新城様、こちらこそ、こんにちわ。」
あれ?
こいつは俺に様付けなんかいっw
韓国人が日本人にへりくだるなんてこともあるんだな。
それにしても背、高いな
俺よりも背の高い女の子初めてみたわ
韓国人は背が高いよな
昔はそんなことなかったらしいが
確かドイツ人とアメリカ人も100年ほど前から背が高くなっていると聞いてる。
この、巨神兵どもがっ
テヒ
「すいません、お邪魔かとは思ったのですが
留学してから優衣さんには『とても』良くしてもらっていたので優衣さんの幼馴染の新城様ともぜひ親交を持てればと思いまして……」
ふーん、韓国人っていうからどうかと思ったけど話に聞いているより礼儀正しいんだな。
まあ、久しぶりに優衣とご飯食べれるんだし遠慮してほしかったけど
修一
「邪魔なんてとんでもないっす。とりあえずなんか頼みますか」
いや、マジで邪魔
なんで来たん、お前
あと麻宮も
なんで来たん?
帰れよ、ふたりとも
そう言いたかったがせっかくの情報源。
色々聞き出せたらいいんだが……
俺はメニュー表を出して3人に注文を促した。
修一
「優衣はハラミが好きだったよね。とりあえず、特上ハラミいっておこっか」

優衣
「あ……うん、ありがとう」
麻宮
「テヒ様、メニュー表どうぞ」
テヒ
「ありがとう」
麻宮、お前も様付けかよ(;´∀`)
テヒも優衣もパラパラとメニュー表をめくり、肉を注文していった。
テヒ
「ところで修一さんは健康診断は受けられたんですよね?」
あー、例の皐月が言ってたやつね
修一
「受けましたよ?」
受けたのになんで平然としてるのかっていいたいのか?
実際男子は2人入院
残りは行方不明だったな
こいつらの仕業としたらマジでイカれてんな
修一
「どうかしましたか?」
俺は平然とした顔でテヒを見てやった。
俺がなんでシラフでいられるかって言いたいんだろ?
教えるか、バーカ
テヒ
「お強いんですね。みんなそうであればいいんですが……。
この子もだいぶ参ってしまったようで……」

そういうとテヒは優衣の背中をさすった。
優衣
「くひぃっ💕!」

修一
「どうした、優衣?」
麻宮
「……………………」
なんだ?
なんだか優衣の様子がおかしい。
息が荒い。
熱でもあるのか?
優衣
「て、テヒ様が………
選別の途中で助けてくれましたから」

その話、皐月から聞いたよ
だから皐月もテヒに対する態度を決めかねているみたいだ。
修一
「へー、テヒ『さん』が優衣のこと助けてくれたんですか?」
テヒ
「あら、そんなことまだ覚えてらしたのですか?」
テヒが優衣の背中をさすりながら優衣の様子を伺う。
優衣の体調が気になるみたいだ。
なんだ……
優しいところあるんじゃないか
優衣は確かにあまり体調が良くないようにも思う。
ちょっと早めに切り上げるか?
優衣
「ぎひぃっっっ💕💕! うっ💕 うっ💕 」

修一
「えっ!? おいおい、マジで大丈夫か?」
いやいや、早めとかじゃなくてもう切り上げるか?
ヤバそうだな。
麻宮のやつはチラッと優衣に目を配るが特に何も言わない。
テヒ
「あらあら、体調悪そうですね。」
テヒはそういうと優衣のお腹に手を伸ばす。
優衣
「あひぃっっ💕💕💕! 」
修一
「お、おいっ」
テヒが手を伸ばした瞬間、優衣の顔が明らかに変化した。
変な顔というか…
いや、これは…
感じてる……?
優衣、感じてないか?
テヒ
「優衣、ちょっとおトイレに行きましょうか。
連れて行ってあげますね」

そういうとテヒは優衣を抱えかげ、お姫様抱っこをしてトイレまで連れて行った。
すごい力だな
やってみたらわかるけど成人女性を抱き上げるのには並大抵の力じゃ無理だ。
普通の男の力では不可能なくらい。
それをやすやすとやるなんて…
麻宮
「…………………………」
え………っと
麻宮と俺、二人で残されて何を喋れと?
まいったな
まあコイツとは仲が悪いわけじゃないけれどあんまり喋ったことはないんだよなぁ
麻宮
「新城くん、健康診断のとき欠席してたよね。」

修一
「………………」
コイツ、記憶力いいなぁ
めざとく覚えてやがる。
麻宮
「まあいいわ、ところで如月とはどこまで進んでるの?」
修一
「優衣と?うるさいな、関係ないだろ?ほっとけよ」
そういう話、女は好きだよなぁ
麻宮
「ふーん、まあ別に私は構わないけれどいつまでも如月があんたのこと待っててくれるとは限らないんじゃない?」
なんだ?
こいつ、俺に告れと言いたいのか?
修一
「なんだよ、なんか知ってるのか?」
麻宮
「はぁ、ほんと鈍感なんだね。そういうところじゃない?あんたが一番大切な人間に見限られたところって」
麻宮は心底落胆したような顔をして俺に向き直った。
修一
「いや、どんなところだよ?」
俺が優衣に見限られている?
コイツは何が言いたいんだ?
だんだんイライラしてきた。
麻宮
「目の前で自分が好きな女を連れて行かれても気付かない鈍感さ。
いつまでも告白しない奥手なところ。
いつまでも如月があんたのこと待っていると思う?
当然それよりもハイスペックな人間が突然自分の前に現れたら心奪われちゃうよね?」
そういうと麻宮はトイレの方をチラッと見た。
何が言いたいんだ?
麻宮
「勘違いしないでね。
これはあんたのことを思って言ってるんじゃない。」
修一
「え?
じゃあ優衣のことを考えて?」
言ってて自分でもそんなわけないとすぐに思い直した。
コイツらは犬猿の仲、お互いを思い合うとは思えない。
麻宮
「そんなわけないじゃない。
私の事情よ。
まあ無理だとは思うけど頑張ってみたら?」
修一
「どういうこと?
優衣に好きな男でもできたのか?」
全然わからん
麻宮
「まあそのうちわかるんじゃない?
嫌でもね」
修一
「はぁ……」
よくわからないといった雰囲気を出してみたものの俺は内心焦っていた。
優衣が知らない男に想いを寄せているのかもしれない。
俺ではなく他の誰かに
小さい頃からずっと優衣のことを見てきた俺にはそんなこと耐えられなかった。
今すぐにでも優衣にそのことを聞いてみたい。
そんな焦燥感を麻宮にさとられまいと必死だった。
ジャラ…
ジャラ…
修一
「戻ってきたのかな______!」
麻宮
「………………………」
俺は後ろを振り返ってびっくりして目を見張ってしまった。


コメント