95蝕祭の儀 

崇韓

登場人物 

カン・ウナ キム・ジソン チェ・ダヒ チャン・ソンギョン ハンミリン 新城修一 伊達皐月

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ウナ様の腕に抱かれ、私は目を覚ました。 

カン・ウナ 

「大丈夫かしら?皐月」 

伊達皐月 

「あぁ………う   うあぁぁぁ  」 

な、なんで…… 

なんでウナ様が………… 

私の瞳からとめどなく涙が流れる。 

カン・ウナ 

「こら、助けに来たのに泣かないの」 

伊達皐月 

「ひぐっ  ひぐっ   もっ   申し訳っ……」 

私のことなんて性処理道具としてしか見ていないと思っていたのに 

どうして助けに来てくれたの…… 

ズズズズスズズ……… 

キム・ジソン 

「淫紋が増えた。 

淫紋は主人として認めたものに堕落すればするほど増える。 

やはり皐月はもうあんたのものってわけね。」 

ジソン様が言うように私の太ももに淫紋が左右一つずつ増えた。 

あぁ…そうか 

やっぱり私自身、ウナ様のことをご主人様って認めちゃってるんだ…… 

私はウナ様の胸に抱かれて頬が赤くなるのを感じた。 

カン・ウナ 

「ふふ、残念ですがそういうことになりますね」 

ウナ様とジソン様が睨み合う。 

そしてジソン様が正宗を抜く。 

カン・ウナ 

「他人(私)の敷地内での抜刀は重罪ですわよ?」 

二人が刹那の間、睨み合う。 

キム・ジソン 

「あんたが先に斬りつけたんでしょうが」 

ジソン様ウナ様を睨みつける。 

ビュッ 

ジソン様が刀を振り下ろした瞬間、ウナ様が私を抱きかかえたまま、浴室を飛び出した。 

カン・ウナ

「皐月っ、走れるっ!?」

伊達皐月

「は、はいっっ!!」

ウナ様は私を降ろすと2人で廊下を走った。

3(4)

キム・ジソン 

「甘いんだよっ!」 

ジソン様が私の背中を斬りつける。

カン・ウナ

「皐月っ、危ないっ!」 

ブシュッ 

カン・ウナ 

「くっ!」 

伊達皐月

「う、ウナ様っっ!

カン・ウナ

「いいから走ってっっ!」

背中を斬られながらもウナ様はそのまま走り出す。 

ウナ様っ

私をかばって・・・

伊達皐月 

「ウナ様っ、私のことはいいですからっっ!」 

せめて足手まといにはなりたくない。 

ウナ様のお気持ちはよくわかった。 

それで十分だ。 

私のことを諦めてくれたらウナ様だけでも助かるはず 

カン・ウナ 

「いいから走りなさいっ!」 

ドゴッ! 

浴室を叩き壊してジソン様が飛び出してきた。 

キム・ジソン

「死ねっ!」

再び正宗が私を襲う。

3(3)

伊達皐月

(こ、今度こそだめだっ!)

カン・ウナ

「くっ!」 

ザンッ  ザンッザンッ 

私を狙ってきた刃をまたもやウナ様が体で防ぐ。

血飛沫があがりウナ様の血が私の顔を赤く染める。 

カン・ウナ 

「ぐぁっ!」 

ウナ様はもう血まみれだ。

それでも彼女は走るのをやめなかった。

私なら最初の1太刀で立ち上がれなくなっていただろうに

これが韓女・・・ 

カン・ウナ 

(もう少しで大ホール……そこまで行けばっ!) 

ウナ様が走る先に大ホールが見えてきた。 

人の喋る声がする。 

誰かいる? 

キム・ジソン 

「そうはいかないよっ」 

ジソン様が正宗を振りかざす。 

カン・ウナ 

「っっ!」 

ジソン様の刀がウナ様を狙う 

ザブッ 

ウナ様のお腹を正宗の刃が貫通する。 

カン・ウナ 

「ゴハッ」 

ウナ様の口から血が吹き出し、先程の一撃で臓器を傷付けたのがわかる。 

伊達皐月 

「う、ウナ様っっ………」 

キム・ジソン 

「トドメよッッ!」 

カン・ウナ 

「くっっ!」 

ジソン様が剣を振りかぶったとき赤い髪の韓女様が現れ、ジソン様の振りかざした剣がピタリと止まる。 

チョ・ダヒ 

「大丈夫ですか!?」 

3(2) 

ダヒ様だ。 

私に着床の儀を施した赤髪の韓女様が飛び出してきた。 

チャン・ソンギョン 

「ジソン様、ここは我らの敷地。 

どうかご理解ください。」 

ソンギョン様が緊張した面持ちでジソン様と対峙する。 

後ろにはヨジョン様もおられるみたいだ。 

※ 

キム・ジソン 

「ちっ」 

ジソン様は少し迷っているようだったがやがて踵を返すとそのままどこかに行ってしまった。 

チェ・ダヒ 

「ウナ様、ひどい傷」 

ダヒ様がウナ様の様子を伺う。 

ヨジョン様は携帯でどこかに連絡しておられる。 

カン・ウナ 

「ゴホッッッ」 

ウナ様は私を地面におろした瞬間、大量の血を吐いて倒れ込んだ。 

カン・ウナ 

「ソンギョン、ミニョンは?」 

チャン・ソンギョン 

「大丈夫ですよっ!大した怪我じゃなかったですけれど一応医務室に連れて行っておきました。」 

カン・ウナ 

「そう、よかった。あの子が知らせてくれたお陰で皐月を失わずに済んだから気になっていましたの」 

ミニョン様とはおそらく私を浴室に連れて行ってくださった韓女様だ。 

あの方が助けを呼んでくださったのか……… 

伊達皐月 

(どうしてそうまでして私を……………) 

彼女らが私を救ってくれた理由がわからない。 

韓国人は私達日本人をゴミクズ程度にしか見ていないのではないのか? 

私が間違っていたのだろうか………… 

この韓国人たちはテヒ達とは別物なのだろうか? 

もしかして日本人のことを虐げたりしない韓国人なのか? 

わからない 

ただ、今はもう休みたい……… 

意識が……………もう…………… 

ダヒ様たちがなにか私に声をかけているのが最後に見えたが私はそのまま意識を失ってしまった。 

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口に生暖かい感触がある。 

不快じゃない。 

これは………安心感なのだろうか? 

私が目を開けるとウナ様が私の唇を奪っている最中だった。 

伊達皐月 

(ウナ様(韓女様)とのキスなのに…………嫌じゃない。) 

心臓の鼓動が高鳴るのを感じる。 

私はうっすらと目を開けるとウナ様と目があった。 

カン・ウナ 

「あら?起こしてしまいましたか?」 

伊達皐月 

「う、ウナ様、どうして」 

意識が鮮明になると私は慌てて背を起こした。 

韓女様の前で寝転がっているわけにはいかない。 

私が身体を起こそうとするとウナ様が手で制した。 

私の身体を気づかってのことなのだろうか? 

カン・ウナ 

「あら?あなたは私の奴隷なのですよ?私が好きなときに好きなことをするのは当たり前ではなくて?」 

伊達皐月 

「いえ、そのことではなくて………」 

ウナ様に体をはって助けていただけるとは思ってもみなかった。 

私はこの方のことを誤解していたのか 

ウナ様のもとから逃げようとしていた自分の愚かさに腹が立ち、自分を助けてくれた彼女に感謝の気持ちが沸き起こってきた。 

ただ、それと同時に罪悪感も私の心に重くのしかかってきた。 

伊達皐月 

「どうして助けていただけたのですか? 

私は……… 

私はジソン様に身体を許してしまいました」 

ウナ様の奴隷という立場でありながらあろうことかあっさりジソン様に身体を許してしまった。 

なんと不敬な 

快楽にあっさり負けてしまった自分が許せない。 

カン・ウナ 

「ふふ、なんだ 

そんなことを気にしていたの?」 

伊達皐月 

「はい……………」 

自分がそんなに尻の軽い女だとは思っても見なかった。 

だがジソン様のふたなりを見るとどうしようもなくあそこが疼いて自分を抑えることができなかったのだ。 

カン・ウナ 

「皐月は私のこと、好きですか?」 

伊達皐月 

「は、はいっ 

もちろんですっ」 

迷いなんかない。 

韓女でも関係ない。 

ウナ様になら自分の身体を捧げられる。 

カン・ウナ 

「ふふふ、そうですわね。 

あなたは私のことが好き。 

わかっていますわ 

そういうふうに躾けましたから。 

でもね、チョッパリは快楽に弱い低能な種族なんですの。」 

伊達皐月 

「はい、申し訳ありません」 

ウナ様の言う通りだ。 

私達は本当にだらしなく、淫らな種族。 

劣等種族と言われても仕方がない。 

カン・ウナ 

「だから快楽に負けてしまうのは仕方がないことですの。 

今のあなたでは他の韓女の誘惑に耐えることなんかできはしません。 

だって野生のチョッパリはそういう生き物ですから。」 

野生のチョッパリ 

そう、私はまだウナ様の家畜にすらなれていないのか 

伊達皐月 

「はい、しかし仕方がないでは許される問題ではありません」 

切腹……… 

そんな行為が脳裏をよぎる。 

カン・ウナ 

「焦らないの。ちゃんと躾てあげるから 

私のことを裏切らない完全な奴隷にね」 

そんなことが……… 

できるのだろうか? 

あの時の渇望 

どうしようもないくらいの性への執着 

克服できるならそれに越したことはないが 

カン・ウナ 

「だからそんなことあなたは気にしなくていいのですよ。 

さあこっちにおいで。」 

伊達皐月 

「……………はい。ウナ様」 

そうだ。 

今は信じよう。 

この偉大な韓女様を 

捧げよう、私のすべてを 

ウナ様、マンセー……… 

伊達皐月 

「あの………ウナ様」 

カン・ウナ 

「なぁに?」 

ウナ様、お綺麗だ。 

伊達皐月 

「さっきのキス、私のファーストキスなんです」 

カン・ウナ 

「あら、そうでしたの?」 

修一にあげたかったファーストキス 

でも今はもうそういう気持ちはない。 

伊達皐月 

「だから…………もっとしてほしいです」 

カン・ウナ 

「だからもっとしてほしい? 

ふふ、文脈がおかしくないですかw? 

まあいいですわ。 

じゃああなたの唇、もっと味わってあげますね」 

ウナ様は私との行為の時、いつも私のことを食材として扱う。 

それが今はたまらなく甘美 

ウナ様の所有物として扱われることがこんなにも気持ちいいなんて……… 

ウナ様、マンセー 

私は心のなかでそう唱えると再びウナ様と唇を交え、今度は自分からウナ様の首に手を回し、彼女の舌を受け入れた。 

9

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ハン・ミリン 

「ウナ、傷は大丈夫なのか?」 

9(2) 

ミリン様がわざわざわたくしの病室にお見舞いに来てくださいました。 

カン・ウナ 

「はい、傷はかなり塞がってきておりますので明日には復帰できますわ」 

10 

ハン・ミリン 

「で、何があったんだ?」 

ミリン様の目が鋭く光る。 

おそらくミリン様もおおよその予想はついているだろうしその予想は間違っていない。 

カン・ウナ 

「ジソンさんが私の敷地内の浴室で抜刀を………」 

あまり多くを語ることはできない。 

原因は皐月をわたくしがジソンさんから奪ったことにある。 

それに最初に刀を抜いたのはこちらだ。 

まあ他人の敷地に踏み込んだのだからどちらが先に斬りつけようとも不法侵入するほうが悪いのだが……… 

それはミリン様も重々御存知だ。 

ハン・ミリン 

「奴隷の奪い合いにとやかく言うつもりはないがここまで大事になるとはな 

」 

カン・ウナ 

「申し訳ございません」 

やはり指摘されたか 

まあそれも仕方のないこと 

ハン・ミリン 

[はぁ、『今は』大切な時期なんだがな。 

まあいい、報告ご苦労。 

で、お前を斬りつけたジソンは行方不明というわけか」 

あのあとジソンさんが行方をくらましたという話をダヒから聞いた。 

韓女同士の同士討ちは重罪ですからそうなるでしょうね。 

カン・ウナ 

「はい、突然『ジソンさん』が斬りかかってきまして…………。 

おそらく衝動的に行った犯行かと思われますわ。」 

これでミリン様はジソンさんから先に斬りかかってきたと誤解するはず。 

ジソンさん、すべての罪をあなたにかぶっていただきますわよ。 

ミリン様はため息をつくと窓の外を見上げた。 

ハン・ミリン 

「わかった。今回のことは私からユジン様に報告しておく。」 

カン・ウナ 

「承知いたしました。」 

ミリン様は私のベッドの横の奴隷用の飼育ゲージで寝ている皐月をちらっと見るとおもむろに言葉を続けた。 

ハン・ミリン 

「そういえばジソンの施設を以前使いたいと言っていたな?」 

ミリン様がわたくしのほうに向き直る。 

カン・ウナ 

「はい、試してみたいことがありますので………」 

ハン・ミリン 

「では好きに使うといい。所有を認めることはできないがいつでも施設の使用を許可する。」 

ジソンさんの処刑の判断が出なかったのは残念ですけれど施設を使えることになって良かったですわ。 

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カン・ウナ 

「皐月はいるかしら?」 

11 

伊達皐月 

「あひっ」 

ビュッッッ 

私の声を聞いて皐月の声がしたところからなにかの液体が勢いよく床に散乱した音がした。 

12 

もちろんわたくしはそれがなにかよく理解しております。 

皐月の芳(かぐわ)しいメスの香りがわたくしの予想を確信に変え、皐月が四つん這いで犬のように私のところに駆け寄ってきます。 

カン・ウナ 

「皐月、わたくしを見つけたらすぐにわたくしの足下で土下座なさい。 

それくらい低能な民族であるお前にもできるでしょう?」 

かつて、韓国人を見て殺意に燃えた蒼い瞳の女剣士も今では見る影もない。 

日本最強の女剣士も今はわたくしを見るだけで逝き潮を撒き散らす堕落した一匹のメスに成り果てた。 

伊達皐月 

「ひゃ、ひゃいっ!」 

わたくしが椅子に座って脚を組むと皐月はすぐに土下座しました。 

12(2)

皐月の頭をヒールで少し踏みつけてあげると短く″アッ″という声をあげて再び逝き潮を撒き散らします。 

13 

カン・ウナ 

(なかなかの仕上がり具合………w) 

笑いが止まりませんわ。 

ただ、このままではわたくしに服従するメスを手に入れたに過ぎない。 

わたくし専用の武器にするにはあともう一つ工程が残っている…… 

カン・ウナ 

「ミニョンはいるのかしら?」 

ナム・ミニョン 

「_______________ここに」 

蒼い髪の美しい女が姿を現した。 

皐月をわたくしの武器にしなければ… 

快楽に狂う奴隷は確かに欲しい。 

子を孕ませる孕み袋にも使えるし、何より性処理道具として使い勝手がいいですもの。 

ただ、わたくしは皐月にはそれ以上を期待しています。 

そのためには最後の躾を行わなくては。 

カン・ウナ 

「ミニョン、準備はできていますか?」 

ナム・ミニョン 

「はい、大丈夫です。皐月の闇落ちですね。どんなモンスターになるか楽しみです」 

ミニョンの傷は大したことがなかったようで安心ですわ。 

13(2) 

カン・ウナ 

「ふふ、そうですわね。ではよろしくお願いしますわ」 

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朝起きると不思議とあそこの疼きは消えていた。 

伊達皐月 

(ここはどこなのだ?) 

気付いたら裸で森の中に寝転がっていた。 

手元には刀がある 

14 

伊達皐月 

(正宗か………) 

自分の愛刀がなぜ手元にある? 

周りには韓女様は一人もおられないようだ。 

わけがわからない。 

伊達皐月 

(とりあえずウナ様のもとになんとか帰るしかない………) 

私の居場所はあの方のもとしかないのだから……… 

ガサガサッッ 

伊達皐月 

「だ、誰だっ!」 

少し先の茂みで人の気配がした。 

私は用心深く進みながら茂みをかき分けて進んだ。 

伊達皐月 

「お、お前は……………」 

森の中にいたのは私と同じ年くらいの男……… 

伊達皐月 

「………………修一」 

新城修一 

「え?皐月!?」 

どうして? 

修一は私の手で………… 

私の手で命を断ち切ったはず 

私が最後を看取ったのだ。 

間違いない。 

なぜ生きている? 

それになぜここにいるんだ? 

新城修一 

「ってご、ごめんっ  」 

伊達皐月 

「あ…………………」 

14(2) 

修一が私の裸を見て顔を赤らめる。 

以前の私なら羞恥心から声をあげていたかもしれないが今はそのような羞恥心はない。 

伊達皐月 

(奴隷に衣服は必要ないのだ。) 

最低限ではあるがウナ様に正しい貞操観念を教えていただいた。 

崇韓思想……… 

これからもしっかりと教わるためにウナ様のもとに戻らないと。 

伊達皐月 

「修一、いいんだ。こっちを向いてくれ。」 

私は草むらで顔を隠している修一に話しかけた。 

新城修一 

「え………………いいのか?」 

伊達皐月 

「いいんだ。奴隷に衣服は必要ない。」 

修一が私の言葉を聞いておずおずとこちらを振り向く。 

新城修一 

「え……………………奴隷?」 

伊達皐月 

「ああ、韓女様の奴隷にしていただいたんだ。」 

ウナ様の奴隷にしていただいた。 

そのことが私の今の生きる意味だ。 

新城修一 

「え、お前何を言ってるんだ_______」 

伊達皐月 

「それより修一、お前、どうして生きているんだ?」 

修一は私が介錯したはず 

修一の首を抱いて泣いたのを今でも鮮明に覚えている。 

新城修一 

「いやぁ………さぁ?なんでなんだろ?」 

伊達皐月 

「お前、本当に修一なんだろうな?」 

人間は生き返ったりはしない。 

そんな奇跡は存在しない。 

私は正宗を握り直した。 

15 

新城修一 

「ちょ、待て待てっ 

俺だってよくわからないんだっ 

お前に殺してくれって言ったところまでは覚えているんだけれどそっから記憶がなくてさ 

気付いたらここにいた。」 

修一が私に殺してほしいとお願いしたことは修一と私しか知らない。 

確かに本人かもしれないがあの時私が介錯したのも確か 

どういうことだ? 

本当に修一なのか? 

新城修一 

「な、なぁ、 

疑ってるのか?」 

伊達皐月 

「信じろと言う方が無理があるのではないか?お前はあの時確かに殺してくれと私にお願いしてきただろう?そして私はそれを承諾した………」 

それともあの時のことは夢だったとでも言うのか? 

新城修一 

「それはそうだけど……… 

信じてくれよ 

俺のこと、好きなんだろ?」 

伊達皐月 

「なっっ   おまっ   

そんなことまで覚えているのかっっ??」 

まさか死の間際に告白したことまで覚えているなんてっ 

新城修一 

「だから言ったろ?俺は俺だって。 

別になりすましでもそっくりさんでもないからさ」 

この軽い感じ 

確かに目の前の男は私のかつて恋い焦がれた存在 

伊達皐月 

「ほ、本当に修一なのか?」 

まさかまた会える日が来るとは 

カン・ウナ 

「あらあら、今の言葉は聞き捨てなりませんわね。」 

声のしたほうを振り返ると金髪の女性 

私の御主人様が姿を現した。 

16 

伊達皐月 

「あっ…………… 

ウナ様・マンセー」 

私は慌てて片膝を付いてウナ様に拝礼した。 

新城修一 

「え………………?」 

伊達皐月 

«修一、修一っ、膝をついて膝っ!» 

私は呆気に取られている修一の頭を抑えて無理矢理姿勢を低くさせた。 

新城修一 

「おっ、   おいっ」 

伊達皐月 

「ウナ様、申し訳ございませぬ。何分、野生のチョッパリでございますゆえ、常識が欠如しておりまして………」 

ウナ様はお優しいお方 

修一の無礼をお許しいただけるとは思うが、だからと言って無礼を働いていいわけではない。 

カン・ウナ 

「それは構わないですわ。ただ、わたくしが気になったのはこのオスが皐月の想い人だったということ」 

伊達皐月 

「え……………ぁ、いやっ   そ、それは昔の話でございます。 

今は私はウナ様に絶対の忠誠を誓っていますから」 

修一はなんのことかわからず状況が飲み込めていない。 

ウナ様の声はいつもよりトーンが低い。 

なんだ、どうしてこんなに怒っておられるのだ 

間違いなく怒っておられる。 

カン・ウナ 

「ふーん、じゃあ今はそのオスのこと、なんとも思っていないのですね」 

16(2) 

伊達皐月 

「も、もちろんです_________っ」 

私はそう返事をしてウナ様の方を見上げて背筋が凍るのを感じた。 

ウナ様が私のことをゴミでも見るかのように冷たい眼で見ておられた。 

いつも私のことをゴミでも見るかのような眼で見てはいたのだがそれでもそのときはいつも笑っておられた。 

つまりその時は少なくとも私のことを見下して満足しておられたのだ。 

それが今は冷たい瞳で見下すだけ。 

全く笑っておられない。 

伊達皐月 

「な、何をご所望であられますか」 

私の手は震えていた。 

こんなに怒っておられるウナ様は初めてだ。 

嫌だ。 

嫌われたくない。 

もしウナ様が望むならなんだってしよう 

とにかくウナ様に嫌われたくない。 

カン・ウナ 

「そのオスとの関係、あなたの刀で断ち切りなさい。 

そうすればあなたの忠誠心、信じてあげる」 

土下座している私の前にウナ様が座り込む。 

17 

伊達皐月 

「え…………………?」 

私はウナ様の言葉の意味を一瞬理解できなかった。 

だがすぐにその意味を脳が解読する。 

修一との関係を刀で断ち切る。 

つまり……… 

伊達皐月 

「修一を……………斬れと言うことですか?」 

新城修一 

「えっ!?お、おいっ」 

慌てて修一が私の手を押しのけて距離をとる。 

カン・ウナ 

「そう言ったつもりだけれど?聞こえなかったかしら?」 

そ、そんな 

せっかく修一と再開できたと言うのに 

私は恐る恐る修一のいるほうを振り返る。 

新城修一 

「お、おい……… 

冗談だろ?」 

修一も震えている。 

で、できない。 

私には…………できない。 

修一を殺めることなんかできるはずない。 

でも殺らないとウナ様は納得してくださらない。 

ど、どうすれば………… 

カン・ウナ 

「あらあら、震えているじゃありません。ほら、刀をしっかり持って」 

17(2) 

ウナ様は私に刀を握らせ、修一のほうに顔を向けさせる。 

だ、だめだ 

 許していただける気配がない。 

ウナ様は本気だ。 

伊達皐月 

「う   ウナ様…………」 

カン・ウナ 

「ん?なぁに?」 

怖い 

ウナ様に捨てられるのが怖い 

でも修一を殺めることなんて……… 

伊達皐月 

「しゅ、修一は私の大切な友なのです。彼の命だけは……… 

彼の命だけはお許しください。」 

18 

カン・ウナ 

「わたくしの言う事が聞けないと言うの?」 

ウナ様のお言葉に怒気がこもるのがわかる。 

私はその場で土下座した。 

土下座して額に血が出るまで地面に頭を擦り付けた。 

ウナ様の静かな怒りを感じる。 

伊達皐月 

「代わりに……私の生命をお捧げします。ウナ様のご命令に背いた罰として生命をお捧げしますので修一の生命だけはお助けください。」 

カン・ウナ 

「ふぅん、そう。あなたの忠誠心ってこの程度だったんですわね」 

ウナ様への愛は変わらない。 

たとえこのあと私の生命を断ち切ったとしてもそれはウナ様のご命令に背いた罰 

当然のことだ。 

ただ、それでも修一を失いたくない。 

修一への思いは変わってしまったけれどそれでも私の大切な男であることは変わりはない。 

カン・ウナ 

「興が……冷めましたわね。」 

18(2) 

伊達皐月 

「え………………?」 

ウナ様はの声のトーンが下がる。 

カン・ウナ 

「あなたに興味がなくなったと言っているのです。どこえなりとも行ってしまいなさい。」 

伊達皐月 

「そ、そんなっっ! 

お待ちください、ウナ様っっ!」 

そ、そんな 

罰すらお与えになってくださらないのか 

伊達皐月 

「ウナ様っっ!   ウナ様っっ!   お待ちをっっっ!   お待ちくださいっっっ」 

19 

ウナ様はこちらを振り向きもせずに森の中に消えて言ってしまう 

伊達皐月 

「待ってっ、待ってくださいっっ!」 

新城修一 

「お、おいっ、皐月 

もういいじゃないか。 

助かったんだし_____」 

伊達皐月 

「離せっ!」 

私は修一の手を振り払うと森の中を追いかけたが不思議なことにもうウナ様の消えた方向には誰もいなかった。 

伊達皐月 

「う……うっ   ふぐぅっっ   ふぁっ   ゔぅ゙ぁっ   うああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっ!」 

新城修一 

「お、おい、皐月………………」 

追いかけてきた修一には目もくれず私はその場でずっと泣き続けていた。 

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