??
「ねぇ、大丈夫?」
1

気を………
失っていたのか
2

私は誰かに呼びかけられて目を覚ました。
ここは……………牢屋か
また振り出しに戻ったな。
眼の前には裸に首輪をした女性。
私よりだいぶ年上だな
20代後半くらいか?
伊達皐月
「こ、ここは……………?」
??
「ここ?ここはエムジェ研究所。韓女様の研究所だよ」
3

韓女様…………だと?
伊達皐月
「そうか…………
私は伊達皐月。失礼ですがあなたのお名前を聞かせてはいただけないでしょうか?」
眼の前に座っている女性。
茶髪に黒い瞳……
おそらく日本人だな。
可哀想に
この女性も拉致されてきたのか。
??
「うん、いいよ。私の名前は織田穂香。」
4

織田…………
織田穂香
確か、織田家は少し前に韓国人に滅ぼされたという話を聞いたことがある。
まさか……
いや、それより今は……
伊達皐月
「そうか。穂香殿とおっしゃられるんですね。」
織田穂香
「ふふ、何その話し方。
とっても変わってるね。もっと気楽に話してよ」
伊達皐月
「私の家がそういう家系なんです。
ほっておいてください」
5

私が顔を赤らめるとそれを見て穂香殿はいたずらっぽく笑う。
こんな場所に幽閉されているのに明るい方だな。
伊達皐月
「穂香殿はここに幽閉されてどれくらい経つんでしょうか?」
織田穂香
「穂香でいいよ、皐月ちゃん。
ん~~そうだねぇ。
結婚式が終わってすぐに連れてきて頂いたからもう半年くらいたってそうだけど………」
半年もここにいるのか……
6

伊達皐月
「逃げることはできなかったのですか?」
7

織田穂香
「逃げることは……できたかもね」
8

伊達皐月
「逃げることができそうなのですか!?」
私は驚いて思わず穂香殿に詰め寄ってしまった。
織田穂香
「きゃぁっ 」
伊達皐月
「!、申し訳ない。つい取り乱してしまいました。」
9

私は落ち着きを取り戻し、彼女と少し距離を取り直した。
織田穂香
「ううん、大丈夫だよw
皐月ちゃんはここから逃げ出したいんだね。」
穂香殿は取り繕うように笑う。
その顔はどこか寂しそうだった。
10

伊達皐月
「当然でしょう。穂香殿はここを出たいとは思わないのですか?」
織田穂香
「私は………いいかな。
でも気持ちはわかるよ。
少し前に私と同じくらいの歳の女の子も同じことを言ってたから」
逃げたくはない……?
ここから?
こんな牢屋で監禁されているのに?
おそらく先程私が受けた拷問のようなこともされているだろうに
まさかこの方も優衣のように洗脳されているのか?
伊達皐月
「他にも日本人がいるのですか?」
織田穂香
「うん、正確には『いた』かな。
その子、韓女様に躾けられてどんどんおかしくなっていったの。
最後の方にはほとんどまともな会話もできなくなっていたわ。
少し前からここに戻ってこなくなったからもしかしたら処分されたのかも……。」
11

処分………
つまり殺された可能性があるということか
伊達皐月
「その女性の名前は………?
いや、聞いたところでどうというわけじゃないのですが」
12

織田穂香
「うーん、確か柊美香ちゃん、だったかな?探しても無駄だよ?生きていたとしても廃人みたいになってたから一緒に協力して逃げることとかはできないと思う」
確かに正気を失っているのであれば協力して逃げることはできないかもしれない。
いや、穂香殿の話を聞く限りもう彼女はこの世には………
伊達皐月
「………………ここから逃げる方法があるとお伺いしましたが?」
織田穂香
「やっぱり逃げたいんだね。わかっているとは思うけど危険だよ?見つかったらすぐに処分されるかもしれない。」
13

当然承知している。
ただ先程の話からしてここにいてもいずれは処分される。
座して死を待つよりはいでて活路を求まん、だ。
私は無言で頷いた。
14

織田穂香
「私はここの韓女様に信頼されているの。
まあ実際逃げる気もないからね。
だからお食事を持って来てくれる方とも牢屋を出て気軽にお話できる。」
その間に隙を見て鍵を盗む、というのが彼女の作戦だった。
眼の前で話している相手から鍵を盗めるのか不安だったが彼女は問題ないと自信ありげに語ってくれた。
伊達皐月
「どうしてあなたは逃げないのですか?」
織田穂香
「私は韓女様に調教されているとき、取り返しのつかないことをしちゃったんだ………」
先程までの明るい表情が消え、ふいに彼女の顔が暗くなる。
15

伊達皐月
「え……………?」
織田穂香
「婚約者をね、殺してしまったの。」
ゾクッ
16

一瞬、彼女の口元が釣り上がり、快楽に身を委ねる娼婦のような顔になる
私の背筋に一瞬冷たいものが走った。
織田穂香
「だからね、もう私はどうなったっていいのよ」
伊達皐月
「そ、そんな……」
織田穂香
「あはは、暗い顔しないで。もう終わったことなの。でもその罪は償わないといけない。だから私はここから出るつもりはないの。」
17

そういう彼女の顔は先程の明るい顔に戻っていた。
伊達皐月
「しかし、穂香殿がここに残れば私がいなくなった時あなたが咎められるのではないでしょうか?」
私はなんとか彼女を説得しようとした。
どういう経緯で婚約者を殺してしまったのかはわからないがこの女性はとても優しい人に見える。
それに人なら私も殺している。
それも二人もだ。
いや、韓国人を入れたらもっとたくさんの人間を殺めている。
この方を非難することはできない。
織田穂香
「さっきも言ったでしょ?私はここで罪を償う。
あなたを助けて罰を受けるならむしろ少しでも罪を償えたことにならないかしら?」
穂香殿の表情はなにか諦めにも似た感情が漂っていた。
伊達皐月
「…………わかりました。ではお言葉に甘えさせていただきます」
迷ってる暇はない。
一刻も早くここから脱出しないと。
18

………
…………………
…………………………………
……………………………………………………………………
穂香殿はその日のうちに門番と会話し、鍵を盗み取ってきてくれた。
穂香殿は特に自由を制限されていないというのは本当らしく、門番も楽しそうに会話して特に疑うこともなかった。
19

織田穂香
「じゃあ夜になったらこれを使って逃げるんだよ?
脱出経路はしっかり覚えた?
迷子にならないように注意してね。」
自由を制限されていないというのは本当らしく、穂香殿は脱出経路まで詳しく教えてくれた。
夜とはいえ、韓女に会わないというのは不可能かもしれないがこの機会、逃すわけにはいかない。
伊達皐月
「何から何まですまない。」
私が礼を言うと穂香殿はニコッと笑って見送ってくれた。
伊達皐月
(牢屋を出たら左に曲がってずっとまっすぐ………)
すると大きな扉に当たるのでそこに入る。
伊達皐月
(すると壁の間と呼ばれる部屋に出る……か)
確かに大きな扉にぶつかった。
ギィ………
私は警戒しながら扉を開けた。
何しろ今は服も着ていないし、頼りになる正宗(刀)も取り上げられたまま。
韓女に遭遇すればただでは済まないだろう。
_______________________________________
???
「「「「ウウウ……アアァァァ………」」」」
20

伊達皐月
「こ、これは………」
壁の間と呼ばれる部屋に入るとそこには数十人の日本人が捉えられていた。
全員女……
そして全ての女がどうやったのかは知らないが壁にめり込んまれて飼育されていた。
21

床は白いどろっとした液体……
昨日見た液体と似ている。
まさか……媚薬なのか
床のところどころに散乱している。
これに触れるのはまずい。
この前の調教で私の身体は明らかに中毒症状を引き起こしている。
実際、媚薬から発せられる匂いだけで心臓の鼓動が高鳴っているのがわかる。
伊達皐月
(ここはテヒの邸宅で見た絶叫の間と同じようなところ………)
つまり日本人を集団で飼い殺しにしている収容所のような場所。
伊達皐月
(皆、目隠しはされているが生きているようだ。)
ただ、壁にめり込んでいるため解放することができない。
私が部屋に入ってきたことを感じたのか、全員が怯えているようだった。
22

伊達皐月
(私のことを韓女だと思っているのか?)
部屋を進むと媚薬の量は次第に増え、足場がなくなってしまった。
伊達皐月
(仕方ない。なんとか我慢してなるべく早くこの部屋をでないと……)
ピチャ……ピチャ……
私はくるぶしくらいまで媚薬に足を浸らせながら慎重に前に進んだ。
嫌な…
嫌な予感がする。
媚薬の匂いがきつい……
頭が変になりそうだ。
23

ドクンッ ドクンッ ドクンッ
ハァッ ハァッ ハァッ ハァッ
伊達皐月
(なんだか………この匂い
ずっと嗅いでいたい……)
天王寺香澄
「ハァ ハァ ハァ ハァ ハァ」
24



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