荒い息が洞窟の中に響く。
「ハァッ ハァッ ハァッ……!」
俺、新城修一は必死に走り続けた。すぐ後ろには如月優衣。だが、突然――
1

「ッ! あぁっ!」
ドサッ。
優衣が地面に倒れ込んだ。
1(2)

「優衣っ、大丈夫か!?」
駆け寄ると、彼女は膝を押さえて苦しそうに息をしている。膝から血がにじんでいた。
「ハァッ……ハァッ……うん、大丈夫……」
本当は痛いはずだ。でも今は休んでいる暇はない。
「ごめんな、頑張ってくれ。とにかくここを二人で抜け出そう!」
「うんっ!」
優衣は頷き、再び走り出す。
二度と……二度とお前を失いたくないんだ。
心の中で強く誓う。
しばらく走ると、優衣が息をのんだ。
「修一っ、あれっ!」
「くっ……!」
目の前に立ちはだかるのは、背の高い蒼髪の女――ナム・ミニョン。
「はぁい、こんにちは。新城くんに優衣ちゃん。」
2

余裕の笑みを浮かべている。
……でかい。俺より10センチ以上はあるんじゃないか?今まで見たどの女よりも威圧感がある。
「優衣、俺がこいつを食い止める。その間に逃げろ!」
3

「えっ、そんな……! 一人で逃げても、この先どうすればいいかわからないよ!」
優衣だけは……失いたくない。
「俺は脚を怪我してる。どうせ逃げ切れない。それに……二度と、二度とお前を失いたくないんだ。」
優衣は不安げに目を揺らした。
「……さっきはそんなこと言ってなかったじゃんっ!」
「口論してる暇はない。俺が抑えるから、なんとか一人で逃げるんだ!」
返事を待たずに俺は前に出る。足の怪我なんて関係ない。俺は全力でミニョンに向かって走った。
「あら、新城くん。とってもかっこいいじゃない。」
ナム・ミニョンがにやりと笑い、構えをとる。
4

ミニョンが構えをとっただけで俺は体が震えあがるのがわかった。
ライオンにシマウマがとびかかるようなものだ。
それでも・・・・それでも引くわけにはいかない。
――負けるわけにはいかない。
俺の蹴りを、ミニョンは片手で軽々と受け止める。
そのまま腕を回され、がっちりと羽交い締めにされた。
やっぱりすごい力だ。
何も武器を持っていない俺じゃ、とても敵う相手じゃない。
それでも必死に抵抗しようと、ミニョンの体にしがみつく。けれど、びくともしなかった。
「――あら? 積極的じゃない?」
余裕の笑みを浮かべながら、ミニョンが楽しそうに言う。
「優衣っ! 今だ、走れっ!」
俺は全力でミニョンを押さえつけた。
だが――
「いっ……いやっっっ!!!」
優衣の悲鳴が響く。
――えっ!?
ハッとして、優衣の方を見る。
「つぅーかまえた♪」
楽しそうな声の主は、緑色の髪の女――ソンギョンだった。
6

しまった。こいつもいたのか……!
「はっ、離せっ! 優衣に手を出すなっ!」
焦る俺をよそに、ミニョンがクスクスと笑う。
「へぇ……自分のことより女の子を心配するなんて……お姉さん、感心しちゃうなぁ」
ミニョンの腕は鉄のように固く、引き剥がすことなど到底できない。
何とかして抜け出そうと、俺はめちゃくちゃな体勢のまま拳を振り下ろす。だが、力がうまく入らず、まるで効果がない。
「修一っ! 修一っ! た、助けてっっっ!!!」
必死に叫ぶ優衣の声が、耳に突き刺さる。
「――あらあら、暴れないでよ? そんなことしても無駄なんだからさ」
優しく諭すような口調で、ソンギョンが優衣の足を払う。
バランスを崩した優衣が倒れ込んだところを、そのまま地面に押さえつけた。
「せっかくの蝕祭だし――美味しくいただこうかしら?」
ミニョンは楽しげにそう言うと、俺を抱きしめたまま顔を近づけ、そのまま唇を奪った。
「ちょっ……!? んぐっ……! はぁ……っ、うぅ……」
驚く間もなく、顎を掴まれ、無理やり舌を差し込まれる。
俺はなんとか抵抗しようと顔を押し返そうとするが、すぐに手を捕まれ、封じられてしまった。
「抵抗してもいいけど――優衣ちゃんがどうなっても知らないわよ?」
ミニョンがくすりと笑いながら、甘く囁く。
「なっ……くっ……!」
優衣の名を出された瞬間、全身の力が抜けていった。
優衣を失えば、俺は何のためにこいつらに抵抗しているのかわからない。
「しゅ、修一……」
震えた声で俺を呼ぶ優衣が、心配そうにこちらを見つめていた。
――やっぱり、以前とは違う。
洗脳された性奴隷なんかじゃない。
今の優衣は、ただの普通の女の子に見える。
それなら・・・・
以前の優衣なら俺は守ってあげたい
俺は歯を食いしばってミニョンの前に跪いた。
「わかればいいのよ。優しく搾り取ってあげるから、私に身を任せなさい?」
ミニョンが妖しく微笑む。
――ふざけるな。
そう言いたいが、抵抗すれば優衣の命が危ない。
俺は悔しさを噛み締めながら、ミニョンを睨みつけることしかできなかった。
そんな俺の顎を、ミニョンが指先で軽く持ち上げる。
じっくりと俺の顔を観察するように、細めた瞳が値踏みするように動いた。
「……ふぅん。そんな態度を取るんだ?」
9

ミニョンの表情がわずかに歪む。
――怒っている……?
いや、違う。
これは、これからいたぶる獲物を前にした、サディスティックな笑みだった。
ナム・ミニョン
「まず第一に、キミは理解しないといけないわね……日本人の立場を。」
グイッ。
突然、俺の髪が掴まれ、そのまま地面に押しつけられた。
10

ゴッ。
彼女のヒールが俺の頭を地面に押しつぶす。鈍い痛みが頭全体に広がる。
ゴリゴリゴリ……
ヒールが頭を擦りつける音が耳に響く。
新城修一
「ぐああぁぁぁぁっっっ!」
如月優衣
「しゅっ、修一っ!」
優衣の悲鳴が洞窟内に反響する。その声は俺の胸を締めつける。
新城修一
「て、てめぇっっ!」
ナム・ミニョン
「修一くん、よく見なさい。眼の前にいるあなたの恋人の姿を。」
チャン・ソンギョン
「くくく……お前の恋人、なかなか喰いごたえのありそうな身体してるじゃないか。」
ソンギョンが優衣の胸を揉みしだく。
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如月優衣
「あぅ……」
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