「え?無いってどういうことですか?」
私はスマホを落としたであろうクラブに来ていました。
目的はもちろんスマホを返してもらうことです。
「ソヨンさんが預かってくれてるんだよ。うちは落とし物を預かれない決まりだからね」
バーテンダーの女の人はそう言ってソヨンさんが働いているビルの住所を書き留めてくれた。
(落とし物を預かれないなんてそんなはずない。わざとソヨン様に渡したんだ。)
その時、私は自然にソヨン様と様付けで読んでいたことに気付きませんでした。
そう、あのときのソヨン様の躾けが私の心を蝕んでいたのです。
今になって思えばやはりこのとき私は愛梨様にご相談するべきでした。
わかっていたはずなのになぜか私は愛梨様に相談せずにスマホを取りに行ってしまいました。
抗えない吸引力が私を底なし沼に引き込もうとしているのかもしれません。
私は愛梨様にもらった指輪をぐっと握りしめた。
大丈夫、左手の薬指につけた指輪が私を守ってくれるはず。
「ソヨンさんが怖いならあの猛獣女と一緒に行けばいいんだよ。」
「スマホを返してもらうだけだから大丈夫です。住所ありがとうございました。」
私はそう言うと紙切れに記載しれた住所に向かいました。
「あーあ、忠告してあげたのになぁ。」
バーテンダーはそういうとある会社に電話をかけた。
「もしもし、ソヨンさん?ええ、例の女の子のスマホの件です。はい、言われたように住所書いて渡しましたよ。あ〜一人で向かうみたいですよ。はい、はい、じゃあよろしくお願いします。」
(絶対に犯されるな、あの娘。韓女のところに行ってスマホ1台返してもらうだけで済むわけないじゃない。無知って罪なんだなぁ)
私はメモに記載された住所のビルにたどり着きました。
かなり大きなビルでエレベーターが何個もありました。
(こ、こんな大きなビル、生まれて初めて)
一階に受付があったのでとりあえず私は受付にソヨン様がいるのか聞いてみることにしました。
バーテンダーの人は今日は出勤しているはずだって言ってたけどスマホがないからそもそも電話して確認することもできなかったのです。
「あの、◯◯大学の柊美香といいます。ソヨン様はおられますか?」
受付の人、綺麗な人だな・・・
この人も韓国人なのかな?
「・・・社長ですね。失礼ですがアポイントはとられておられますか?」
え?社長だったの😱?あの人😳
「え、いえ、あのっスマホを預かってもらってると聞いてるんですけど。」
うう、会えなかったらどうしよ😢。
スマホ返ってこないじゃん😭
「あっ、承知しました。社長に確認しますのでそちらの席でお待ち下さい」
「わかりました。ありがとうございます」
私は大理石の床の上に置かれたソファに身体を委ね、受付嬢の対応を待った。
「はい、例の方が来られてます。承知しました。『この会社がどういう会社か』見せてあげたらいいんですね。」
「柊美香様ですね。私はユナと申します。社長から許可が出ましたのでご案内します。」
なんとなくちょっと怖いな😟
スマホ返してもらうだけなのに大げさのような、、、
「こちらへ」
エレベーターで5階まであがると長い廊下を歩いていきました。
「ギャアッ」
え?なに?なに?
ビックリして周りを見渡すとオフィスの一角で背の高い女の人が黒いスーツの女の人を平手打ちしていた。
「ああ、美香様。お気になさらずに。チョッパリの再教育ですから」
え?仕事で平手打ちされることってよくあるの?
「あ、でもあの人、今度は脚で踏みつけて・・・」
「日本人はああでもしないと理解できない下等民族ですから。」
日本人は下等民族・・・
ソヨン様もそうおっしゃっておられた。
私たちは下等民族・・・
そう言われてしまうとなぜかあそこが熱くなったような気がした。
「あ゙あ゙っ゙💕」
もう一度背の高い女の人が黒いスーツの女の人を踏みつけている。
な、職場で人を踏みつけるなんてっ
「だめっ」
「美香様っ!?」
私はユナさんの静止を振り切り倒れている黒いスーツを着た女の人と背の高い女の人の間に割って入った。
理由がどうであれ暴力は絶対に間違っている。
「なに?お前、誰?」
あぅぅ
飛び出して来たもののいざ背の高い女の人を見上げると本能的な恐怖を感じて脚が震えてきた。
すごくガタイの良い女の人。
この人もすごい美人には違いないがとても冷たい目をしている。
「いや、ぼ、暴力はっ」
「なに?聞こえないんだけど?」
あぅぅぅ
私はガクガクブルブル脚を震わせて自然に身体が正座の姿勢を取り、土下座してしまった。
こ、この感覚
ソヨン様のときに感じたやつだ
か、格上民族様ぁ


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